サラダ油の危険を避けて健康維持!

2023年11月03日 09:54
カテゴリ: サラダ油

フライを食べて食中毒?!

「最近刺し身などの生ものは食べませんでしたか?」

嘔吐や下痢で病院を受診すると、必ずこのように尋ねられますね。

厚生労働省のホームページには「食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。」と記載されていますが・・・

大部分は細菌やウイルス、寄生虫などの微生物による食中毒ですが、実はそればかりではありません。

即席麺、クッキー、駄菓子等による食中毒も!

これらの食中毒の共通する原因は劣化した油脂と判明しています。

2009年大分県の飲食店ではフライヤーの揚げ油が原因で、12名中10名が体調不良をきたした事例も!

食用油は時間の経過とともに、空気中の酸素と結合する酸化反応によってアルデヒドなどの有毒物質を生じます。

このアセトアルデヒドが、二日酔いの症状の原因であることをご存じの方も多いでしょう。

劣化油

加えて油脂の酸価反応は加熱によって拍車がかかります。

厚生労働省は「弁当及びそうざいの衛生規範」により「酸価が2.5を超えたフライ油は新油に交換すること」と定めています。

しかし、その値を超えてもなお使用されている実態が明らかに!(下グラフ参照)

多くのユーザーは加熱された油の色で劣化(酸化)を判断するとされていますが、特にファーストフードでは高い酸化であっても油脂の着色が少ないことをグラフから読み取ることができます。

使用できる油を廃棄することは無駄と言わざるを得ませんが、交換しなければならない油を使用することで健康被害が生じます。

食用油を用いて食品生産に携わる際には、科学的根拠に基づく適切な使い方を遵守することが重要です。

水野和久 月間フードケミカル28巻,9号,2012,25-33

サラダ油で、がん、動脈硬化、認知症?!

実は、加熱されたサラダ油による健康障害は、胸焼け、下痢・嘔吐・腹痛などの急性症状だけではないのです。

癌、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる動脈硬化症、そしてアルツハイマー型認知症も!

にわかには信じがたいのですが、わたしたちの健康をじわりじわりと蝕むこれらの病気にも繋がっていることがわかってきました。

その犯人は、ヒドロキシノネナール(HNE)。

私たちは食事を通じてHNEなどの過酸化脂質を日々口にしています。

従来、過酸化脂質は過剰に摂取しない限り体内へ吸収されないとされてきましたが、東北大学農学研究科のグループが「微量の過酸化脂質は確かに吸収されないが、その摂取刺激がからだの中で脂質の酸化(新たな過酸化脂質の生成)を引き起こす」ことを明らかにしました。

できる限りHNEを摂らないようにしたいものですね。

加熱されたサラダ油の摂取はほどほどに!

では私たちは何に気をつけたら良いのでしょうか?

そのひとつが加熱されたサラダ油!

HNEは加熱前の油には含まれておらず、リノール酸というサラダ油に多く含まれる不飽和脂肪酸を加熱することにより生成されます。

そのため、特にリノール酸の比率が高いコーン油及び大豆油、サフラワー油は、HNEの生成量が高くなりがちです。

一方、オリーブ油、キャノーラ油、米油、ひまわり油はHNEの生成量が前者より少ない傾向です。

とはいえ繰り返しの加熱によりいずれもHNE生成量は増加します。

加熱されたサラダ油の取り扱いには十分に注意しましょう。

そして何よりサラダ油を加熱して作るフライ、炒め物などの過剰摂取は控えたいものです。

サラダ油との向き合い方

サラダ油を構成する主な脂肪酸であるリノール酸は、コレステロール低下作用を有する必須脂肪酸の一つです。

ところが近年はサラダ油が過剰摂取され、リノール酸の有する体内の炎症作用が亢進して、動脈硬化症やアトピー性皮膚炎、喘息などを悪化させていることが大きな問題となっています。(ブログ 「健康と美容に役立つ油、避けたい油」参照)

サラダ油と正しく向き合い健康的な食生活を維持していきましょう。

① サラダ油の過剰摂取は控える

② サラダ油の加熱は最小限に抑える

③ 炎症を抑える必須脂肪酸(DHA、EPA)を多く含む魚、えごま油、アマニ油の摂取を心がける

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