目と肌の若さを保つルテインの効果ー野菜嫌いは要注意!ー

青壮年は野菜摂取不足

1日に野菜は何皿(1皿70g)食べますか?

① 1皿
② 2皿
③ 3皿
④ 4皿
⑤ 5皿

「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つに「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられています。

ところが肥満外来に通院する多くの患者さんはどうでしょうか?

ほとんどが①または②です。

「令和元年国民健康・栄養調査」によると、野菜類摂取量は280.5g、特に20~40歳代での摂取量は特に少なくなっており、平均値を下げている原因と考えられています。

いつも外来で「便秘を防ぐ」、「痩せホルモンGLP-1を分泌する」などと野菜の効用をお話していますが、今回は視点を変えて「目」と「肌」を話題にします。

「色の濃い野菜(緑黄野菜)を食べましょう」

わたしが小学校生の頃からこのように言われていました。

当時は緑黄野菜はビタミンA(カロチン)やビタミンCなどの栄養素を豊富に含むという点から、摂取を推奨されていました。

ところが過去20年ほどの間に、野菜に含まれるそれら以外の栄養素のさまざまな健康効果が明らかにされてきました。

そういった栄養素の一つがルテインです。

ルテインとはほうれん草やケールのような緑黄野菜に多く含まれる、抗酸化作用を有するカロテノイドの一つです。

活性酸素と抗酸化物質

抗酸化作用という言葉を見聞きしますが、どんな作用でしょうか?

私たちの体は炭水化物のブドウ糖を分解してエネルギーを作りだしています。

この過程で酸素を利用していますが、利用された酸素は体内で活性酸素に変化します。

この活性酸素は強い力を持ち私たちの細胞を酸化して、つまり傷つけることによって、シワ、しみ、がん、糖尿病・脂質異常症・動脈硬化、そして老化の原因となります。

抗酸化とは細胞の酸化を抑えること(傷をつけないようにすること)、そのためには活性酸素を分解してしまうことが必要です。

抗酸化物質とは、その物質そのものが酸化されやすいため、活性酸素によって私たちの体が酸化されるよりも優先的にその物質自体が酸化される、すなわち私たちの体を身代わりになって守ってくれる物質です。

それでも私たちは、老化や、がん、生活習慣病からなぜ逃れられないのでしょうか?

ひとつには私たちの体内では活性酸素を無毒化する抗酸化の働きが加齢によって低下するからです。

それだけでなくストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、過食、多量飲酒、紫外線、高血糖、高血圧などの活性酸素を増やす因子が身の回りにたくさん存在しているからです。

以上の基礎知識をもとに、老化、がん、生活習慣病から少しでも身を守るためにはどのようにしたら良いのか?

もうおわかりですね。

悪玉の活性酸素増加因子を遠ざけて、善玉の抗酸化物質を多くとり入れることに尽きます。

今回登場するルテインはそんな抗酸化物質のひとつです。

糖尿の合併症における活性酸素の役割

ルテインは天然のサングラス!

私たちは眼球の奥の網膜というところで視覚情報を感知しています。

特に網膜の中心領域である「黄斑」は、物体をはっきりと認識するために必要な高解像度の視覚に関係する重要な器官です。

黄斑という名前は、黄色い色素ルテインが高密度に集合していることから名付けられています。

「黄斑変性症」とは黄斑が傷害される目の病気で、欧米では失明原因の第2位にランクされています。

わが国では第4位ですが、食生活の欧米化と高齢人口の増加により着実に増加している恐ろしい病気です。

ではルテインは黄斑においてどんな働きをしているのでしょう?

ひとつは光を遮断するフィルター機能、もうひとつは、前述の抗酸化作用。

光の一部が網膜に到達して酸化ダメージを受ける危険が生じても、抗酸化作用によってこれを阻止します。

このようにして目の最も高解像度の場所である黄斑をルテインが保護しているのです。

それだけではなく目のレンズの役割を果たす水晶体も保護しています。

水晶体は、透明なタンパク質から作られていますが、悲しいことに活性酸素の攻撃によって白濁、つまり白内障になりレンズが濁ってしまいます。

ここでも水晶体に含まれているルテインがそのフィルター機能と抗酸化作用によって、無色透明な水晶体を有害な光から濁らないよう保護する働きを担っているのです。

まさにルテインは「天然のサングラス」といったところですね。

しかし黄斑変性症にならなくても40歳代以降黄斑の色素(ルテイン)が徐々に減少して、目の機能は徐々に衰えていくと言われています。

ではどのように対策したら良いのでしょう?

日常生活の中での心がけが黄斑変性症の予防につながります。

禁煙:喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子です。

紫外線予防:日中の日差しが強い時間帯には、サングラスなどで紫外線・ブルーライトをカットしましょう。

他には、肥満や高血圧、脂質異常症も危険因子と考えられています。

生活習慣の改善は脳、内臓や血管だけでなく目にもとても重要なのですね。

次回はルテインの肌に及ぼす影響についてお話します。

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